『はじまりの映像プロデュース論!!』_written by 広原暁

大学生活にも慣れて、もはや慣れきって堕落し始めると言われるそんな美大3年の春。僕には心に決めてあることがあった。

 「映像プロデュース論、講師奥山和由」

 この授業が始まることを知った一年の終わりごろから、ずっとずっと楽しみにしていた。
 奥山和由さんの名前を知ったのは、「地雷を踏んだらサヨウナラ」を見た時。アンコールワットへと走っていく一ノ瀬泰造の姿を観て胸が高鳴り、さらにチームオクヤマという言葉の響きが何故か頭から離れなかった。
 そんな風に昔を懐かしみながら、奥山和由先生の第一回目の授業へと向かう。

 教室を見渡すと、ざっと14人くらい。よく知った顔も知らない顔もあり、これからどうなっていくんだろうと考えては、勝手にワクワクしている僕。と、そこへ、奥山さんが普通に登場してきた。本当に、普通に。別に外の窓から登場して欲しかった訳でもないが、とにかくそう感じたのだ。あ、目の前に普通にいるって。  

 第一回目の授業で何をやるのだろうかと期待していたら、今日はこの授業を受けるにふさわしいかどうかを見るために、面接を行いますと。
 え?そんな急に言われても、とドキドキもじもじしながら。奥山さんの面接を受ける。どんな話をしたかは今はもう覚えてない。ひとつだけ覚えているのは、僕の面接なのに僕よりも奥山さんのほうがしゃべっていたということだけだ。何故だ?

 しかし、それでもメンバーは選ばれた。なんとたったの5人。しかも大学で仲良しの5人。  この偶然はなんだろう?そして何を基準に選ばれたのだろう?これから一体何が始まるんだ?
 多くの謎を残し、最初の授業は過ぎ去っていったのであった・・・。



『東京タワーに集う5人』_written by 広原暁

 記念すべき、初めて5人が集まった日。それも何故か東京タワー。何をするのかも分からず、ドキドキしながら待ち合わせ場所に向かう。二階にある、不思議な雰囲気のあるカフェを見渡すと、  あ、いた奥山さんだ!いつものスーツ姿でソファーに座っている。  今日は何をやるのだろう?何も話を聞かされてない僕たちは、ただ奥山さんがしゃべるのを待つばかり、するといきなり一枚の紙と、アクセサリーみたいなものを渡された。紙には一言、

「『TAIZO』を興行し、ドッグタグを5000個販売しなさい」。

手渡されたアクセサリーがそのドッグタグだった。  頭の悪い僕は、「すっげー!面白そう!」とただ思うばかり。5000個売る為には単純に一回の上映で何個売らなきゃいけないのか?なんて計算は、もちろんできるわけない。

 そしてさらにこの日、「TAIZO」を初めて見ることに!!このカフェには7つのスクリーンがあり、かなりの特殊な環境での上映で、それだけでも少しワクワク。

 が、なんだか隣のゲームセンターの声がうるさい、あ、普通にお客さんがお茶飲みながらしゃっべてる。こんな環境じゃまったく音が聞き取れないよ!ああ、そういえば昨日から寝てないんだった。いろいろな状況が重なり、眠りの国へ行ったり来たりしながら見ることに。  

 気付いたら終わっていた。・・・どうしよう。

 試しに映画の記憶を必死に辿ってみる。すると、ゆっくりと、純粋化された映画のイメージが蘇ってくる。脳裏に深く刻み付けられた映像。街が泣いていると語る泰造の手紙、最後に映し出された幻影のようなアンコールワット、泰造の歌声。あの少女は何だったのだろう?窓からこっちを見て、にこっと恥ずかしそうに 笑ったあの少女。泰造が見た映像?監督が撮影した素材?いろいろなイメージが頭を駆け巡りました。「TAIZO」には不思議なイメージの流れがあります。目にはっきり見えるわけじゃなく、まるで地下水路のように映画の中を駆け巡っている。それが一体何なのか?分かったのは、ちょっと後になってのこと。

 とにもかくにも、ここから「TAIZO」を興行していくための僕たちの活動がスタートしたのでした。

 プロデュースとは何か?それは奇跡を起こすということなんだよ。

 そう語られたのは奥山さん。一体どんな奇跡が起こるのでしょうか?僕たちは一体どこへ行くのかしら?


つづく...


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